ECSって何?体への影響やCBDとの相性など解説

「ECS(エンドカンナビノイド・システム)って何?」

「CBDを取らないと病気になるって本当?」「ECSを分かりやすく説明してほしい」今回の記事はCBDと深く関わっているECSについて、その概要から効果までを分かりやすく解説します。このブログを見れば『ECS』についてほとんど理解できるようになっていますので、ぜひ参考にしてみてください!

ECSって何?

【①ECSとは】

⑴ECSとは人体機能のマスターコントロール

⑵ECSはどのように作動するか

⑶体の不調はECSが原因かも!?

【②ECSの働きをサポートする方法】

⑴運動をする

⑵良質な油を摂る

⑶CBDを摂取する

【③補足と注意事項】

【①ECSとは】

⑴ECSとは体のマスターコントロール

 エンドカンナビノイド・システム(以下ECSと略称)とは、人間が生きていく上で必要な身体調整を行う、とても大きな体内システムのことです。人間は外部からの肉体的・感情的・心理的なストレスを受けたときに、このECSを通して体内のバランス(※1)を取り戻すと同時に、肉体的な快感や活力、健康状態を調整することが分かりました。言わばECSは、人体の主たる制御装置と言えることができます。

 心臓外科医及び、軍人内科病院の内科医の経験を持つデビッド・B・アレン(※2)は、「ESCの発見は医科学における最も重要な発見であり、ECSが事実上、あらゆる生理機能を制御するマスターコントロールシステムであることに気付きつつある」と述べています。

 ECSは、人体のホメオスタシス(恒常性)(※3)維持のために24時間休まず働いています。ホメオスタシスとは体外の環境の変動(※4)にかかわらず、体内環境が一定に保たれることを言います。例えば体が怪我をしたり、ストレスを受けたり、ウィルスや細菌に侵入されようとしているとき、体の免疫系は炉のように熱くなり侵入者を焼き殺すための熱を作り出します。それが終わると、ECSは免疫系に対して、熱を冷ましてホメオスタシスを回復するよう指示(※5)を出します。しかし、この制御がうまくいかないと免疫系がストレスに過剰反応したり、自分自身の体を侵入者と勘違いして攻撃し、自己免疫疾患や炎症性疾患が起こります。

 このように細胞同士のコミュニケーションを取り合うECSは、人間にとって本当に大切な機能ですが、発見されたのは1988年と最近の出来事でした。

 ECSがコントロールする体内の機能は、免疫の他にも、神経保護、老化、認知、記憶、運動機能、発達、感情制御、痛み、消化機能、食欲調整、エネルギーバランス、睡眠、性機能、脳の細胞生成にまで至ります。言い換えると、ECSが上手く働かないと、それらの機能に不調をきたす可能性が大いにあるということです。

(※1) ホメオスタシス(恒常性)の維持

(※2) 国際カンナビノイド研究協会(ICRS)名誉会員

(※3) Homeostasis(ホメオスタシス)は、「Homeo(同一)、Stasis(停止状態)」を意味するギリシア語から成る造語

(※4) ウイルスや細菌の侵入、貧しい食生活、環境汚染、ストレスなど

(※5) 「逆行性シグナル伝達」と呼ばれる細胞内情報伝達の形態。体内の幅広い範囲でこの逆行性伝達が行われるのはECS以外に確認されていない(2023/03/10現在)

⑵ECSはどのように作動するか

 ECSは体内にあるカンナビノイド(内因性・植物性・合成)(※6)とカンナビノイド受容体(※7)が結合することによって体の機能を調整します。

内因性カンナビノイドとカンナビノイド受容体については、過去のブログを参考にしてみてください。

【内因性カンナビノイドって何?】

内因性カンナビノイドって何?

【カンナビノイド受容体って何?】

カンナビノイド受容体とは

 まず、体内の代謝酵素と呼ばれるタンパク質によってカンナビノイドが生成されます(役目が終わったカンナビノイドも代謝酵素によって分解されます)。

 この代謝酵素によって生成されたカンナビノイドは、『神経伝達物質(分子)』として脳のニューロンと細胞との間で情報(信号)を伝達します。カンナビノイド=神経伝達物質。

 ニューロンと細胞の間で、カンナビノイドを運ぶのが脂肪酸結合タンパク質と呼ばれる輸送分子です。カンナビノイドは油溶性の神経伝達物質のため、この輸送分子がないと水分である血液中を流れることができないためです。CBDオイル製品(CBDとベースオイル)が効率的に人体に消化されるという理由はここにあります。

CBDオイルに含まれるベースオイルについては、過去のブログを参考にしてみてください。

【CBDのベースオイルの特徴とは?MCTオイルやオリーブオイルなど種類を解説】

 最終的に、カンナビノイドは各細胞の表面にある『受容体』と結合します。受容体は、カンナビノイドが持っている情報(体内でどんなことが起こっているのか)をもとに、細胞がそれに対して必要な行動をとれるように指示をします。この情報が体内の不調である場合は、周辺の細胞に対してそれを整えるように指示をします。

 カンナビノイド受容体は、中枢神経系(脳)や臓器(肺・血管・腸など)、末梢神経など全身に存在していると言われています。

 

 このように、ECSは体内のニューロン、神経経路、受容体、細胞、分子、酵素が形成する複雑なネットワークの総称と表現することができます。ここまでECSについて色々と解説してきましたが、1番重要なことは「体の様々な機能を調整するECSを動かすためには、「カンナビノイドが必要不可欠」であるということです。

(※6) 内因性カンナビノイド、植物性カンナビノイド、合成カンナビノイド

(※7) CB1受容体、CB2受容体

⑶体の不調はECSが原因かも?

 ECSがコントロールする体内の機能は様々であると前述しました。

ECSが影響する脳の機能

神経保護、脳の神経細胞の生成、意思決定、学習(認知、記憶)、感情制御(怒り、不安、報酬)。

ECSが影響する体の機能

免疫機能、消化器官、心臓血管系、骨の健康、肝臓、泌尿生殖器の機能、脂肪と糖分の処理、ホルモンバランスの維持。

私たちの身近なところでは、皮膚、老化、運動機能、食欲調整、睡眠、痛みに至るまでを絶えず調整しています。

 CBDの持つ様々な効果が、時に私たちを不安にさせることがあります。しかし、それにはこのECSが及ぶ範囲が非常に多岐にわたるという理由があるからなのです。

 ECSはカンナビノイドと受容体の結合によって機能しますが、そのカンナビノイドが不足すると神経と免疫システムの不調=カンナビノイド欠乏症」の状態になることが最近の研究で分かりました。そのような状態が、様々な疾患の原因になるのではないか?と言われています。さらに、体内で生成される内因性カンナビノイドは、加齢やストレス、栄養不足などによって数が減少してしまいます。そうなると、外部から何らかの形でカンナビノイドを摂取することが不可欠ということになります。多くの研究者は、ECSの不調や欠乏が、老人退行性疾患(ガン、認知症、2型糖尿、心臓疾患、自己免疫疾患)精神疾患(統合失調症、自閉症スペクトラム、薬物依存症)につながっているという仮説を立て、今も研究が進められています。

 では、具体的にどのようにして体内のカンナビノイドを増やせば良いのでしょうか?

【③ECSの働きをサポートする方法】

 体内のカンナビノイドを増やす方法は主に2つあります。1つ目が「生活習慣を整える(内因性のカンナビノイドを増やす)」2つ目が「CBDを摂取する(外因性のカンナビノイドを増やす)」ことです。

⑴運動をする

 ランナーズハイという言葉を聞いたことがあると思いますが、あの現象は脳内麻薬と表現されるエンドルフィン(※7)が原因と考えられています。しかし、最近の研究では、体の中で生成される内因性カンナビノイドもマラソンなどの長時間運動によって分泌されることが分かっています。さらに、運動と内因性カンナビノイドの関係について、フランスの研究チームは大変興味深い実験をしています。研究チームは、内因性カンナビノイドが欠損したマウスと、通常のマウスで運動量の違いを実験しました。その結果、通常のマウスはゲージの回し車に興味を示しますが、遺伝子操作されたマウスは回し車に興味を示さず、通常のマウスの半分しか走らなかったことが明らかになりました。

 日々の生活の中でランニングを取り入れることは、内因性カンナビノイドの分泌に効果的です。しかし、この分泌には軽く息が上がるくらいのランニングを1回につき少なくとも45分から1時間は続ける必要があるそうで、運動の習慣が全くない人にとっては大変苦痛だと感じます。

 少し話は脱線しますが、寒さにさらされることの刺激によって体温を調整するECSの働きが活発になるとも言われています。例えば、入浴後に冷たいシャワーを浴びるなどが当てはまります。しかし、極端な、急激な体温の変化は血圧に悪影響を及ぼす可能性がありますので、注意しましょう。

(※8) 内因性オピオイド

⑵良質な油を摂る

 運動の習慣があまりない方にとって、食生活を変えることも手段の1つとなります。そのキーとなるのが必須脂肪酸と呼ばれる脂です。特に、「オメガ6系脂肪酸は内因性カンナビノイド(「2-AG」「アナンダミド」)の原料」と言われています。さらに、DHAやEPAに代表される「オメガ3系脂肪酸は、CB1受容体の発現が促進される」と考えられており、両者をバランスよく摂取することで、ECSの働き全体をサポートします。

 ちなみに、内因性カンナビノイド(2–AG)は母乳にも含まれています。この2-AGは、オメガ6系脂肪酸の中でも、不飽和脂肪酸に分類されるアラキドン酸(ARA)によって生成されます。アラキドン酸は、卵や肉類、魚類(赤身)にも多く含まれていますが、酸化されやすいため、高温で調理しない形での摂取が向いています。特に魚に含まれる脂肪酸は元々人体に吸収されやすい形になっているので、積極的な摂取をおすすめします。

オメガ6系脂肪酸が多く含まれる食べ物

牛肉、豚肉、卵、みなみまぐろ、トロ、サザエ、ヘンプシードオイルなど

オメガ3系脂肪酸が多く含まれる食べ物

青魚、くるみ、エゴマオイル 、亜麻仁オイル、ヘンプシードオイルなど

エゴマオイルやヘンプシードオイルは、CBDオイルのベースオイルとして使われるものです。CBDオイルに含まれるベースオイルについては、過去のブログを参考にしてみてください。

【CBDのベースオイルの特徴とは?MCTオイルやオリーブオイルなど種類を解説】

⑶CBDを摂取する

 CBDは植物性カンナビノイドとしてECSの働きをサポートします。ECSは基本的に内因性カンナビノイドによって働いていますが、前述の通り、加齢やストレスによって内因性カンナビノイドの数は減少してしまいます。栄養が足りていない状態をサプリなどで補うように、外部からCBDを摂取することによってECSの働きをサポートする必要があります。

CBDを摂取する方法はたくさんあり、代表的なものは

・オイル、ティンクチャー、グミ等(エディブル)、ドリンク(食べて吸収)

・オイル、クリーム、バーム、バスボム(皮膚から吸収)

CBDは製品によって吸収率などが違います。CBDの摂取方法については、過去のブログを参考にしてみてください。

【直接?食事に入れる?】CBDを摂取する方法は?CBDオイルの摂取方法を紹介

 また、最近の研究ではCBDなどの植物性カンナビノイドだけでなく、麻の種子から抽出されるヘンプオイルでもECSを活性化できることがわかっています。CBDに対して抵抗がある方は、ヘンプオイルを摂取することもおすすめです。

【③補足と注意事項】

 CBDなどの植物性カンナビノイドは、ECSの受容体だけでなく他の受容体とも結合することが知られており、それによって別の効果が起こる可能性もあります。ここが内因性カンナビノイドと植物性カンナビノイドの特性の違いです。例えば、CBDはドーパミン受容体や、アデノシン受容体と結合します。個々の特性を理解することが、CBD製品の効率的な使用につながります。

 現在、持病などで薬を服用している方は、カンナビノイド製品を使用する前に必ず主治医に相談してください。

CBDは薬ではありませんが、『薬物相互作用』を起こす場合があります。

市販薬を含め、薬は肝臓の酵素によって代謝されます。CBDはその酵素の働きを阻害するため、結果的に薬が体内で作用する時間を長くします。

これは果物のグレープフルーツでも起こる可能性があり、他の薬が効き過ぎてしまうことを避ける必要があります。

 特に、CBDの摂取が1日100mgを超える場合は、下記のような医薬品との相互作用に注意して、使用前に主治医に相談することが必要です。

ベンゾジアゼピン、抗うつ薬、抗精神病薬、麻酔薬、ステロイド、免疫抑制剤、抗凝固剤、スタチン、抗不整脈薬、カルシウム拮抗剤など

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