「CBNってどんな効果があるの?」
「CBDとの違いは何?」
今回の記事はそのような疑問を解決する内容になっています。
CBNって何?
【①CBNとは】
⑴CBNはTHCによって作られる
⑵CBNに向精神作用がないとは言えない!?
⑶CBNが眠りのカンナビノイドになった訳
【②CBNの効果】
⑴鎮痛作用と2次的な鎮静作用
⑵食欲増進
⑶抗炎症作用(ニキビ予防など)
【③補足と注意事項】
【①CBNとは】
CBN(※1)は「眠りのカンナビノイド」と表現され、市場では睡眠に特化したものとして販売されています。しかし、実はCBNが睡眠に対してどのような、どれくらいの効果があるのかということは明らかになっていません。
ここではCBNが睡眠に良いと言われるようになった理由と、そもそもCBNとは何か、CBDとはどのように違うのかをできる限りわかりやすく説明します。
(※1) Cannabinol (カンナビノール)
⑴CBNはTHCによって作られる
CBNは大麻草から直接生成される化合物ではなく、THCが酸化されることで分解生成されるカンナビノイドです。大麻草における酸化は成長中に当たる光や熱、あるいは収穫後の乾燥によって起こります。つまり保存状態の悪い大麻草にCBNは多く含まれるということです。
THCの酸化には数年単位の時間が必要で、意図的にCBNを分解生成するには大変な労力がかかります。1本の大麻草から取れるCBNの量は1%未満と言われており、CBGと同じレアカンナビノイドに分類されます。さらに、日本の法律では「成熟した大麻草の茎または種子から抽出・製造されたCBD製品」しか輸入できません。茎や種子はそもそもTHCの量が少ないため、日本ではCBNがよりレアであると言えます。
⑵CBNに向精神作用がないとは言えない
THCは向精神作用(ハイになる)のあるカンナビノイドですが、CBNにはそのような作用がないと言われており、日本でも合法です。しかし、向精神作用が全くないかと言われると断言はできません。
そもそもTHCによってハイになるとされる理由は、それを摂取したことによって結びつく受容体が関係しています。カンナビノイドに結びつく受容体は2つあり、1つが『CB1受容体』、もう1つが『CB2受容体』と呼ばれるものです。THCなどの前者に結びつくカンナビノイドには向精神作用があり、CBDなどの後者に結びつくカンナビノイドには向精神作用がありません。CB1受容体は主に中枢神経系(※2)に多く存在し、CB2受容体は主に免疫細胞系(※3)に存在するからです。
CBNは主にCB2受容体に結合しますが(親和性が高い)、CB1受容体にも、とても弱いですが結合します(親和性が低い)(※4)。これはCBGにも同じことが言えます。政府がCBNを合法にしている理由はこの結合が無視できる程度のものと判断しているからで、具体的な数字で表すとCBNの向精神作用はTHCの10分の1程度だそうです。
CBGについては、過去のブログを参考にしてみてください。
想像するに、CB1受容体への若干の親和性が「眠気、鎮静(リラックス)、空腹感、人によっては創造的になる」と言う効果をもたらしているのかもしれません。もちろん、このような作用にもアントラージュ効果が関与しているため、全てがCBNの効果であるとは断言することはできません。
アントラージュ効果については、過去のブログを参考にしてみてください。
【アントラージュ効果って何?CBDアイソレートとCBDディストレートの違いを解説】
(※2)認知や気分、記憶などの機能に影響を及ぼす
(※3)抗炎症作用と免疫調整作用に関連する
(※4)file:///Users/takasekazufumi/Downloads/receptors-01-00002.pdf
⑶CBNが眠りのカンナビノイドになった訳
実は、CBNは最初にその個体が分離(単離)されたカンナビノイドと言われています。保存の技術や大麻草の研究が今より進んでいなかった19世紀の後半に、大麻を摂取した人が眠たくなったということでCBNが眠りに良いと印象付けられたようです。その後研究が進み、大麻の科学技術企業Steep Hill社は、CBNはカンナビノイドの中で最も強い鎮静作用を持っていると評価しました。同社は、動物実験で2.5~5mgのCBNが5~10mgのジアゼパム(※5)と同じレベルの鎮静作用があると報告しましたが、現在はその結論には根拠が乏しいとして言及を撤回しています。
そのような背景があり、CBNは眠りのカンナビノイドとして一般認知されましたが、ブログの冒頭でも触れたようにCBNが睡眠に対してどのような効果があるのかということはまだ明らかになっていません。
(※5) 抗不安、抗痙攣、催眠鎮静薬
【②CBNの効果】
⑴CBNとCBDの違い
CBNだけに関わらず「CBDと他のカンナビノイドはどう違うのか」という質問をよく受けます。決定的な違いは、CBDと他のカンナビノイドの体内での働き方です。あまり知られていないことですが、CBDはCB1受容体とCB2受容体には直接結合せず(※6)、CBNやCBGはそれらの受容体に直接結合します。これが1番の違いになります。そのことによって効果の違いを生み出しているのですが、現在の研究ではその効果についても「〜は〜のような効果(特性)があるかもしれない」という程度でしかありません。
現在の研究レベルと、消費者の声からCBNに期待されている効果を3つご紹介します。
(※6) セロトニン受容体と直接結合
⑴鎮痛作用と2次的な鎮静作用
現在のところ、CBN単体では鎮静の性質は低いとされていますが、CBDとの組み合わせによって鎮静・催眠効果が期待できると言われています。2019年のラットの動物研究によると、CBDとCBNの混合物を1:1の比率で投与したところ、それぞれを単独で投与するよりも、顎関節症や線維筋痛症の痛みを緩和したことが分かっています。この痛みの緩和が、睡眠を2次的に改善させている可能性が考えられます。
⑵食欲増進
2021年のラットの動物研究によると、CBNを投与したラットは大幅に食欲が増加したことが分かっています。臨床試験は行われていないことから人間に対する効果は証明されていませんが、食欲の刺激は嗅球に存在するCB1受容体の働きに依存していると言われています。空腹状態は内因性カンナビノイドの量を増加させ、それがCB1受容体と結びつくことによって食欲を増進させます。CBNとCB1受容体との結合(親和性は低い)が食欲の調整に関与している可能性があります。
⑶抗炎症作用(ニキビ予防など)
CBNはメチシリン耐性を持つ黄色ブドウ球菌に対して強い抗菌性があります。黄色ブドウ球菌はニキビの原因になる上に、敗血症や肺炎などの重篤にも関係している菌です。これまでは、メチシリンという抗生物質が黄色ブドウ球菌に有効でしたが、それに耐性のある菌が発見されたことで、新たな抗生物質の研究が進められています。CBNの強い抗菌性は、新たな抗生物質としての可能性を秘めており、ニキビや肌の炎症などに対する美容的な効果にも注目されています。
【③補足と注意事項】
現在、持病などで薬を服用している方は、カンナビノイド製品を使用する前に必ず主治医に相談してください。
CBDは薬ではありませんが、『薬物相互作用』を起こす場合があります。
市販薬を含め、薬は肝臓の酵素によって代謝されます。CBDはその酵素の働きを阻害するため、結果的に薬が体内で作用する時間を長くします。
これは果物のグレープフルーツでも起こる可能性があり、他の薬が効き過ぎてしまうことを避ける必要があります。
特に、CBDの摂取が1日100mgを超える場合は、下記のような医薬品との相互作用に注意して、使用前に主治医に相談することが必要です。
ベンゾジアゼピン、抗うつ薬、抗精神病薬、麻酔薬、ステロイド、免疫抑制剤、抗凝固剤、スタチン、抗不整脈薬、カルシウム拮抗剤など