CBGって何?CBDとの違いや効能を解説
「CBGってどんな効果があるの?」
「CBDとの違いは何?」
今回の記事はそのような疑問を解決する内容になっています。
【①CBGとは】
⑴CBGは全てのカンナビノイドの母
CBG(※1)はTHCやCBD、CBC(※2)など全てのカンナビノイドの元となるカンナビノイドです。もう少し付け加えると、CBGは大麻草の中ではCBG-A(※3)という酸性型の物質として存在しており、それが成長中に紫外線や熱などにさらされることによって、また、花の収穫後や保存中の乾燥によって脱炭酸が起こり、THCやCBD、CBGなどの生理活性物質(※4)(カンナビノイド)に変化します。
CBGの面白い点は、全てのCBG-AがCBGを生成するのではなく、むしろ、他のカンナビノイドに変化しなかった一部のCBG–AだけがCBGに生成されるというところです。さらに、THCとCBDは同じ前駆体であるCBG–Aから生成されるにもかかわらず、対照的な効果を持ちます。例えば、THCは精神作用と食欲の増進があり、CBDは非精神作用と食欲の減少を持つといった具合です。
全てのカンナビノイドの母と表現されるCBGは、THCとCBDの中間的な作用秩序を持っていると考えられており、薬理学的特性が異なることから人体への効果も違う可能性があります。
(※1) Cannabigerol(カンナビゲロール)
(※2) Cannabichromene(カンナビクロメン)
(※3) カンナビゲロリン酸, カンナジベロール
(※4) 生体の特定の生理的調節機能に対して作用する性質のこと
⑵CBGはレアカンナビノイド
CBG-Aは、CBDなどのカンナビノイドに変換された後はその数がほとんど残らないため、成熟後の大麻草にはCBGが1%ほどしか含まれていないと言われています。より高い生産量を得るために品種改良された大麻草でない限り、まとまった量を抽出することは困難です。そのことから、CBGはレアカンナビノイドとして認識されています。
⑶CBGはハイにならない
CBGは非精神活性カンナビノイドです。
CBDはカンナビノイド受容体に対する親和性が比較的低く、内因性カンナビノイドを活性化するなどして間接的にECSに関わるとされています。CBDとCBGには多くの共通の利点があります。たとえば、どちらにも向精神作用はありませんし、痛みの緩和や炎症の軽減などをもたらします。また、どちらも副作用がほとんどありません。
【②CBGに期待されている効果】
⑴鎮静(リラックス)・鎮痛作用
現状のカンナビノイド研究では、CBGが人体にどのような効果を持つかという断定はできません。しかし、CBGを摂取したことによって活性化されると考えられている「α–2アドレナリン受容体」及び、活性化がブロックされる「5–HT1A」がどのように作用し、効果を発揮するかという研究については判明しています。
まず初めに、CBGはα–2アドレナリン受容体(以下α–2受容体とする)の「アゴニスト(※4)」であるということはTHCとCBDには見られず、特異性があると言えます。そして、CBGは5-HT1A 受容体に対しては「アゴニスト(※5)」であると考えられています。
α–2受容体は、中枢神経にも末梢組織(※6)にも広く分布しており、特に脳内では、脊髄座や恒常性機能を持つ脳幹領域に豊富に存在しています。
α–2受容体が活性化されることによる基本的な作用は、鎮静作用(交感神経系の活動を抑制する)です。しかしながら、CBGとα–2受容体の結合が中枢神経系と末梢組織のどちらに強く反応するのかは明らかになっていません。
現在、α–2受容体のアゴニストとして知られているクロニジンは、ADHD(注意欠陥多動性障害)やPTSD(心的外傷後ストレス障害)、認知症などの神経精神疾患に対して一般的に処方されているようで、その他にも降圧・鎮痛・鎮静作用があると言われています。クロニジンは、もともと抗高血圧薬として使われていましたが、他の受容体(※7)との結合も関与していることが明らかになったため、血圧を下げることを主とする目的では使われなくなりました。一方で、精神疾患の治療におけるクロニジンとグァンファシン(※8)の機能は大変効果的なものであるとされています。ADHD における作業記憶や計画性を改善、アヘンの離脱症状の軽減にも使用されています。
CBGがα–2アドレナリン受容体と結合することを考えると、クロニジンなどの精神疾患治療薬と同じように働く可能性が考えられます。さらに、CBGを摂取した際に鎮痛・鎮静作用があるという声が多いことから、個人的には筋緊張や痛覚を制御するイミダゾリン受容体とも無関係ではないように思われます。しかし、CBGとこれらの効果は予測できるものではなく、場合によっては極度の血圧低下やリラックス以上の鎮静作用、服用している他の薬との薬物相互作用が起こる可能性がありますので、CBGを使用の際は必ず医師からの指示を受けることが必要です。
(※4) 作動薬
(※5) 阻害薬
(※6) 末梢組織では、血小板、膵臓の β 細胞、副腎、腸上皮、血管内皮、平滑筋細胞に広く分布する。
(※7) イミダゾリン受容体
(※8) クロニジンよりも降圧・鎮静作用の副作用が少なく、α–2受容体での活性が高い精神疾患治療薬。
⑵抗うつ・抗不安効果
5-HT1Aは神経伝達物質であるセロトニンによって活性化される5-HT受容体の1つです。セロトニンは一般的に幸せホルモンと呼ばれ、5-HT1Aと結びつくことによって、抗うつや抗不安などの神経系へ強く影響します。しかし、5-HT 受容体グループは体の循環や排泄、食事摂取の機能にも多大な影響をもたらします。5-HT 受容体の 90% は消化管にあり、腸の運動を司っているとも考えられています。
現在処方されている抗うつ剤(5-HT1Aアゴニスト)などによって5–HT1Aが活性化されると、抗不安作用をもたらしますが、用量によってはその効果が失われるのも早いと言われています。低用量の抗うつ剤では効果が十分でない反面、高用量では副作用が高くなってしまうそうです。
CBGは、5-HT1Aに対してアンタゴニストとして働き、抗うつ剤の効果を高める可能性があると言われています。セロトニンの分解を阻害(調整)することが結果的に体内のセロトニンの量を増やすからです。
面白いことに、CBGはこのアンタゴニストとしての働きをし、高用量のCBDはアゴニスト(抗うつ剤のような)働きをします。両者間のさらなる研究が進めば、医学的根拠をしっかりと持ったサプリや抗うつ剤として処方される可能性を秘めています。
さらにCBGは炎症性腸疾患に対しての効果も期待されていることから、免疫系に影響のある5-HT 受容体グループとの良い関係も大いに期待されます。
【③補足と注意事項】
現在、持病などで薬を服用している方は、カンナビノイド製品を使用する前に必ず主治医に相談してください。
CBDは薬ではありませんが、『薬物相互作用』を起こす場合があります。
市販薬を含め、薬は肝臓の酵素によって代謝されます。CBDはその酵素の働きを阻害するため、結果的に薬が体内で作用する時間を長くします。
これは果物のグレープフルーツでも起こる可能性があり、他の薬が効き過ぎてしまうことを避ける必要があります。
特に、CBDの摂取が1日100mgを超える場合は、下記のような医薬品との相互作用に注意して、使用前に主治医に相談することが必要です。
ベンゾジアゼピン、抗うつ薬、抗精神病薬、麻酔薬、ステロイド、免疫抑制剤、抗凝固剤、スタチン、抗不整脈薬、カルシウム拮抗剤など