アントラージュ効果って何?CBDアイソレートとCBDディストレートの違いを解説

「アントラージュ効果って何?」

「CBDアイソレートとCBDディストレートの違いは?」

今回の記事は、そのような疑問を解決する内容になっています。

アントラージュ効果って何?

①アントラージュ効果とは?

②アイソレートとディストレートの違い

③補足と注意事項

【①アントラージュ効果とは】

⑴CBDの効果を高める相乗効果

「CBDにチャレンジしてみたい」「より効果のあるCBDを試したい」CBDを知るにつれて『アントラージュ効果(※1)』という言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか?

 アントラージュ効果とは、CBDだけを摂取するよりも他の成分と一緒に摂取した

方が効果が高くなったり、効果の違いを生み出す現象のことを言います。

 CBDだけというのは『CBDアイソレート(※2)(※3)』をイメージしていただけると分かりやすいと思います。簡単に言うとCBDアイソレートよりも『CBDディストレート(※4)』の方が効果が高いということです。

 アントラージュとはフランス語で “取り巻き” を意味します。そもそも大麻の花や葉っぱ、茎や種子には500種類以上の化合物が含まれており、その中で最も多い化合物が香りの成分です。『テルペノイド / テルペン』などと呼ばれるその化合物は、120種類以上あると言われています。次に多い化合物がCBDやTHC(※5)でお馴染みの『カンナビノイド』で、現時点では100種類以上が見つかっています。 人間で言えば、タンパク質や脂質、糖質などが化合物に当てはまります。

 それらの化合物が相乗的に働くことで、植物自身や、摂取した人の身体の中で様々な効果を生み出したり、効果を高めてくれるということになります。

※1 相乗効果

※2 純度98〜99%

※3 隔離、分離

※4 蒸留

※5 Tetrahydrocannabinol : Δ9-THC(テトラヒドロカンナビノール : デルタナインTHC)

⑵アントラージュ効果はカンナビノイドだけでない

 あまり知られていないことですが、CBDは他のカンナビノイドだけでなく、テルペンなどとの相乗効果によっても効果が増加することが研究で分かっています。

 サティバ種の中で豊富なテルペンは『ベルガモテン』と言われています。アールグレイなど紅茶の香りづけとして知られているベルガモテンは、その爽やかな香りからフレグランスの香料としても人気だそうです。また、アロマテラピーにも用いられ、精神安定やストレスケア、安眠などの効果があると言われています。ベルガモテンの香りを嗅ぐだけで、ストレスホルモンを減らし免疫力が向上したという実験結果もあると言われています(※6)。

 『ベルガモテン』はタンジェリン・ドリームなどに含まれるテルペンとして知られています。

 さらに、サティバ種には『ファルネセン』も豊富に含まれています。カモミールでお馴染みの『カマズレン』と同じテルペンに分類されるファルネセンは、サティ種特有のフルーティな香りが特徴的です。効用としては、鎮痛・抗炎症作用を持つことで知られており、カモミールにも優れた抗アレルギー作用があると言われています。サティバ種ではありませんが、ファルネセンはOG・クッシュを親に持つピンク・クッシュに多く含まれるテルペンとしても知られています。

※6 https://maisonlexia.com/her-elegance/lifestyle/26#item2142

 インディカ種の中で豊富なテルペンは『ミルセン』と言われていますが、こちらは種にかかわらずどの大麻草にも含有するテルペンとして認知度が高いと思います。ミルセンは土のような香りが特徴的で、ムスク(麝香)にも近いと言われています。

 『リモネン』も代表的なテルペンとして認知されており、大麻草に含まれる量としては2番目に多いと考えられています。どちらも優れた抗炎症・鎮痛作用を持つテルペンとして、特に科学や医療の分野で広く研究されています。

 大塚製薬がイギリスのGW製薬と共同研究を行った、多発性硬化症の治療薬である『サティベックス(ナビキシモルス)』はCBDとTHCが1:1の割合で混合されています。アントラージュ効果によって多発性硬化症や痛みの軽減をより可能にする医薬品として注目されています。日本ではCBDを主成分とした『エピディオレックス』が難治性てんかんの治療薬として治験が承認されました。

⑶カンナビノイド同士のアントラージュ効果

 ここまで、アントラージュ効果は化合物同士の相乗効果により体に対する反応を高めたり、様々な効果を生み出す現象としてご紹介しましたが、実際のところその全貌は明らかになっていません。例えばCBDと『CBG(※7)』を同時摂取するとどの効果(睡眠や炎症作用など)が増幅するのかは個人的な感覚に依存しています。それはテルペンにも言えることです。しかしながら、海外の研究者たちがアントラージュ効果についての臨床研究を積極的に行っており、ディストレートには用量と効果の比例関係が認められています(※8)。アイソレートは用量を増やしたとしても、一定量を超えるとそれ以上の効果は見込めません。その他には、THCはCBDの効果をより高めることが基礎研究で分かっており、反対に、CBDはTHCの分解を遅らせることで、THCの効果をより持続させることが分かっています。

 世界ではTHCとCBDの相乗効果の研究は行われていますが、残念ながら日本でTHCは非合法です。その代わりにCBGや『CBN(※9)』などのカンナビノイドが日本では注目されていますが(最近は海外でもCBN入りのグミなどをよく見かけるようになりました)、CBDとそれらの相乗効果についてはまだ不明な点が多いと言えます。そもそも大麻草における相乗効果は非常に複雑で、成分だけでなく大麻草の品種、株の違いによっても作用の仕方が異なると言われています。

 日本では主にCBDとCBN、CBG、またはCRDといった成分が各社独自の配合量で販売されています。個人的にはCBGとCBNが1:1に近い割合で含有されているオイル(※10)がおすすめで、鎮静作用(リラックス効果)がとても高くなると言う声が多いです。

 色々な割合のディストレートオイルを試してみて、自分にしっくりくるものを選ぶことが大切です。

 CBGやCBNについては過去のブログを参考にしてみてください。

【CBGって何?CBDとの違いや効能を解説】

【CBNとは?CBDとの違いや効果を解説】

※7 Cannabigerol(カンナビゲノール)

※8 チェコの研究者であるルミール・ハヌス博士がイスラエルで行った臨床研究

※9 Cannabinol(カンナビノール)

※10 ディストレートオイルとして、CBDやその他若干のカンナビノイドを数10%含むもの

【②アイソレートとディストレートの違い】

⑴CBDアイソレートとは

 CBDアイソレートとは原材料の大麻草から「CBD成分のみを分離」したものです。分離前の大麻草にはCBD以外のカンナビノイドや、テルペン、フラボノイドも含まれます。アイソレート製法ではそれらの天然成分を完全に除去し、無味無臭の結晶や粉末状態にします。その結晶や粉末は、一般的に98%〜99%と超高濃度(純度)で、それにテルペンやベースオイルなどを後から加えて調整し、CBDオイルやリキッドを製造します。

CBDのみを分離することは以下のような意味を持ちます

①植物独特の苦味を抑える

②違法成分(THC)の除去

③アスリートが使用可能になる

 CBDだけを大麻草から分離することで、植物の苦味や香りを抑えることができます。例えば、葉っぱをそのまま食べると苦いと思いますが、アイソレートではそのような植物独特の苦味が抑えられ、それが苦手な方でも摂取しやすくなっていると言えます。 

 アイソレートはTHCが除外されており、消費者が安心して摂取できるという側面もあります。さらに、WADA(※11)やJADA(※12)でCBDがドーピング対象から除外されたことでアスリートにもその使用が認められるようになりました。

 しかし、アイソレートは純度が高い反面、ある一定量を越えた段階で効果が大幅に減少すると言われています(※13)。それは、ディストレートにはある相乗効果がないためだと考えられています。前項目でも触れたように、相乗効果はそれぞれが持つカンナビノイドの効果を高める現象のことを言います。

※11 世界アンチ・ドーピング機関

※12 日本アンチ・ドーピング機構

※13 釣鐘効果

⑵CBDディストレートとは

CBDディストレート とは原料の大麻草から「THCのみを除去」し、それ以外のカンナビノイド、テルペン、フラボノイド等の成分を全て含んだものです。つまり、ディスティレートは相乗効果が見込める唯一の合法カンナビノイド製品と言えます。ディストレート原料は液体で、それを熱したり冷やしたりすることでTHCを除去します。これによって選択した成分だけの原料を作ることができます。

 基本的に、ディストレートは相乗効果への期待が最大の特徴とメリットになります。多くの研究者は、異なるカンナビノイド同士の相乗効果に関心を抱いており、それらの混合物は、アイソレートとは違う形で私たちの体に作用することが研究で明らかになっています。

 CBDを含む、カンナビノイドの効果を最大限に得たい場合、ディスティレート製品の選択をおすすめしますが、それには植物本来の成分が多く含まれているため苦味や香りがあることに注意が必要です。

各メリットとデメリットについてまとめてみました。

①アイソレート製品(CBD単体の原料)

メリット  植物独特の苦味や香りがない

      スポーツ選手でも安心して使える

      価格が手頃

      

デメリット 相乗効果が見込めない  

②ディストレート製品(CBD以外の成分も含んだ多成分の原料)

メリット  相乗効果が見込める

デメリット 植物独特の苦味や香りが残る

      アイソレートよりも値段が高い 

⑶フルスペクトラムとは

 上記に加えて、フルスペクトラムと言うものがあります。フルスペクトラムはTHCを含む大麻草の成分が、全て含まれているものです。現在、日本の法律ではTHCの取り扱い、所持、製造等は違法となります。つまり、日本で純粋なフルスペクトラムの製品があることはあり得ません。フルスペクトラムにももちろん相乗効果がありますが、それを謳って販売している商品は、ディストレートとの区別ができていないか、違法な商品であるため注意する必要があります。

【③補足と注意事項】

ディストレートは大麻草の成分を蒸留して精製しますが、その過程でTHCが残ってしまう可能性もあります。そのような製品が日本に入ることを防ぐため、各製造会社は成分分析表等の書類を提出し、日本から輸入の許可を得なくてはいけません。

しかし、チェック漏れなどの人的ミスにより、微量のTHCが残ったまま国内で販売されているケースもありますので、製造、販売先の信用性、安全性をご自身で確かめてから購入することをおすすめします。

 それに関しては過去のブログを参考にしてみてください。

【安心できるCBD商品を選ぶためのポイントとは?】https://docs.google.com/document/d/1jvl2Tw6sMJxjZ74HJKg9VShiHrzZDDNAHIQYzwpOg-A/edit?usp=sharing