「CBDオイルに含まれる原材料が気になる」
「ベースオイルって何?」
今回の記事は、そのような疑問を解決する内容になっています
ベースオイルってどんな種類がある?
- ベースオイルとは
- 各ベースオイルの特徴
- 補足と注意事項
【①ベースオイルとは】
CBDオイルは、CBD原料をベースオイルやテルペンで希釈させて製造します。
CBD原料それ自体は粘り気のある半固形状態で、そのままでは使用には向いていないため、ベースオイルなどで希釈させます。
ベースオイルは、MCTオイル(ココナッツ)、オリーブオイル、セサミオイル、グレープシードオイル、ヘンプシードオイル(※1)など、植物性由来として様々な種類があります。
(※1)ヘンプの種から抽出されるオイルで、CBDオイルとは別物
脂質(オイル)は三大栄養素(※2)と呼ばれ、人間が生きていく上で必要不可欠だと言われています。
脂質は悪いものというイメージがあるかもしれませんが、それは私たちが活動するためのエネルギー源でもあり、細胞膜やホルモンを生成するための重要な栄養素です。さらに、脂質は肌に潤いを与えたり、油に溶けやすい脂溶性ビタミン(※3)の吸収を高める働きもあるなど、美容にも欠かせない存在と言えます。
(※2)タンパク質、糖質、脂質
(※3)ビタミンA、D、E、K
脂質にも種類があり、植物や魚に含まれる『不飽和脂肪酸』は体内のコレステロール値を下げ、生活習慣病に対する効果が期待されています。
CBDを抜きにしても、ベースオイルは私たちの健康に大きく関与するものであり、自分の体に合わせた選び方が重要になります。
【②各ベースオイルの特徴】
- MCTオイル
- オリーブオイル
- ヘンプシードオイル
①MCTオイル
MCTオイル(※4)は、ココナッツなどヤシ科の果実から抽出されるオイルです。
オリーブオイルやラードなどに含まれる『長鎖脂肪酸』と比べて、分子が短いことから『中鎖脂肪酸』と呼ばれており、エネルギーに早く変わり、体にも蓄積されにくいオイルといわれています。
植物由来でありながら、脂肪酸の半分以上が『飽和脂肪酸』(※5)から形成されており、CBD原料と親和性の高い(溶けやすい)ベースオイルになります。
(※4)中鎖脂肪酸(Medium Chain Triglyceride)
(※5)動物性由来であることが多い脂肪酸
MCTオイルをベースオイルにするメリットは
- CBD原料に溶けやすく、体内への吸収率が高くなる
- 酸化や熱にも強く常温保管が可能で、低温でも固まりにくい
- オイル独特の風味や臭いが少ないため、口に入れやすい
MCTオイルを初めとする『中鎖脂肪酸』は水との親和性(溶けやすい)が高いため、糖と同じように体に吸収されやすいことが特徴です。『長鎖脂肪酸』と比べても、約4倍の早さで吸収されると言われています。
この『中鎖脂肪酸』を体内に取り込む際に作り出される『ケトン体』は、脳のエネルギー不足を補えると考えられており、糖をもとにしたエネルギーよりも集中力が高めやすいとされています。さらに、MCTオイルに含まれている『ラウリン酸』は、特に免疫系の働きを助けると言われています。
MCTオイルを摂取する場合、ココナッツアレルギーの方には注意が必要です。
CBDオイルはペットにも使うことができますが、特に猫は『脂肪肝症』を起こしやすいため、使用前は獣医師に相談することをおすすめします。
②オリーブオイル
オリーブオイル(※4)は、モクセイ科の果実から抽出されるオイルです。
紀元前5000年頃にはすでにオリーブオイルを使っていたという歴史があり、食用や美容、臭い消しにも使われてきた歴史の古いオイルです。
オリーブオイルをベースオイルにするメリットは
- 食用オイルとしての認知度が一番高い
- 広く流通しているため価格が安い
- 悪玉コレステロールを抑制する
③『オメガ9脂肪酸(オレイン酸)』と『必須脂肪酸(α-リノレン酸)』(※5)も含んでいる
(※5)人体では生成できない脂肪酸
MCTオイルは石鹸やバームなどに加工することも多いですが、一方で、オリーブオイルは食用としての消費量が多いです。世界的に見ても流通量が多いため、ベースオイルの中では最も価格が安いです。
オリーブオイルは長鎖脂肪酸で、『中鎖脂肪酸』に比べて体に蓄積されやすいオイルとなります。しかし、オリーブオイルは『長鎖脂肪酸』の中でも『不飽和脂肪酸』に分類され、それは動物性の『飽和脂肪酸』と異なり加熱する必要がないため、ほぼ全ての栄養素を取り入れることができます。さらに、オリーブオイルは『不飽和脂肪酸』の中でも、『一価不飽和脂肪酸』である『オメガ9脂肪酸』を含んでいます。もともと、オリーブは地中海地方の人々によく親しまれており、その地域の人々は、他のヨーロッパ諸国の人々に比べて健康状態がよかったことで注目されました。
『オメガ9系』の代表と言われている『オレイン酸』は、善玉コレステロールを損なうことなく、過剰に増えた悪玉コレステロールを抑制し、血管を正常に保つ働きをします。また、オリーブオイルは、『オメガ3脂肪酸』である『α-リノレン酸』も含んでいます。
『α-リノレン酸』は、体内で『DHA』や『EPA』といった物質に変換されます。
フィッシュオイルで馴染みのあるそれらの成分は、『オレイン酸』と同じように血液を健康に保つ他にも、脳細胞を活性化するという働きが期待できます。
その他に鬱症状の改善にも効果があると言われています。
全てのオイルはその性質上、酸化して過酸化脂質になりやすいという欠点があります。過酸化脂質になった油は、私たちの血液に悪影響を及ぼします。
『オレイン酸』はこの過酸化脂質を作りにくい性質を持っていますが、そもそもが油という性質上、熱や酸化には弱いです。
オリーブオイルに多く含まれるポリフェノールは熱に弱いため、揚げ物などには適していません。オリーブオイルの成分を無駄なく活かすためにも、できるだけ新鮮なものを選ぶことが重要です。
③ヘンプシードオイル
ヘンプシードオイルは、麻の種子から抽出されるオイルです。
成分の約80%が『必須脂肪酸』で、植物油の中でも栄養価が非常に高いことから、完全栄養食品(スーパーフード)と呼ばれています。
麻の種を低温圧搾法で絞り抽出し、その風味はクルミやナッツに似てコクがあるといわれています。
ヘンプシードオイルをベースオイルにするメリットは
- 必須脂肪酸同士のバランスが、すでに理想的な割合で含まれている
- アレルギーやPMS(月経前症候群)の緩和が期待されている
- ベースオイルの中で唯一、カンナビノイドとの相乗効果が見込める
ヘンプシードオイル はオリーブオイルと同じ『長鎖脂肪酸』です。
必須脂肪酸にはオメガ3系の『α-リノレン酸』と、オメガ6系の『リノール酸』と呼ばれるものがあり、ヘンプシードはこの両方を含んでいます。さらに、WHOや厚生労働省が推奨する『α-リノレン酸』と『リノール酸』の割合は4:1とされていますが、ヘンプシードオイルに含まれる『α-リノレン酸』と『リノール酸』の割合は3:1と、非常に理想的な割合となっています。
つまり、栄養素の割合を考えなくても、元から人体に適した形になっていると言えます。必須脂肪酸が不足すると、皮膚の乾燥・脱毛・免疫不全など様々な症状を引き起こすと言われています。
『オメガ6』と『オメガ3』の脂肪酸のバランスが、恐怖体験に基づいて形成される記憶の強さをコントロールするということをNCNP(※6)が発見しました。最近の研究では、CBDをはじめとするカンナビノイドだけではなく、種子のヘンプオイルからでも『ECS(※7)』を正常に活性化できるという報告があります。
(※6)厚生労働省管轄の高度専門医療研究センター
(※7)エンドカンナビノイドシステム
ヘンプシードオイルは、他の植物油には含まれていない『γ-リノレン酸』も含んでおり、これはアレルギーやかゆみ、PMS(月経前症候群)を抑える効能があるとして、海外ではアトピー性皮膚炎などの治療にも用いられています
オリーブオイルと同じように、ヘンプシードオイルは油分以外の成分も多いため、CBDが溶けにくいということがあり、MCTオイルと比べても価格が高いです。
【③補足と注意事項】
今回ご紹介した3つのオイルにはそれぞれ特徴があります。
①MCTオイル
ベースオイルの中でも、口当たりにクセがない
短時間でエネルギーになり、脂肪として蓄積されにくいためダイエットにも有効
②オリーブオイル
食用オイルとして広く親しまれており、価格が手ごろ
血中のコレステロールが気になる方にも有用なオイル
③ヘンプシードオイル
スーパーフードと呼ばれるほど、栄養価が高い
抗不安やPMS(月経前症候群)など付随するメリットが多い
現在、CBD原料との親和性という観点からも、比較的製造しやすいMCTオイルをベースとした商品が多いです。
しかし、アレルギーをお持ちの方や、他の有効成分を期待する方にはMCTオイル以外の選択肢を考慮する必要があります。ご自身の特性や期待に基づいて、ベースオイルにも注意を向けることが大切です。
また、オイルは酸化することで人体に悪い影響を及ぼします。その主な原因は、オイルが古くなっていたり、体の中に長く留まりすぎることです。
CBD自体の抗酸化作用を活かすためにも、ベースオイルの保存状態に気をつけ、古い製品を買うことを避けましょう。